臨床検査科

臨床検査科について

臨床検査科では、疾患の診断や治療、経過観察に欠かすことのできない臨床検査業務を行っています。
臨床検査は、患者さんから採取された血液・尿・喀痰などを検査・分析する「検体検査」と、直接患者さんに接して検査する「生理検査」の2つに大別されます。
当院では検体検査を行う生化学・免疫、一般、血液、細菌、輸血の検査部門があり、その他に生理検査室と24時間対応の急患検査室に分かれて業務を行っています。また採血室で外来採血業務も担当しています。

検査の品質と精度保証

臨床検査科では様々な外部精度管理プログラム(コントロールサーベイ)に参加し、検査データの精度向上に努めています。また2020年12月に国際標準機構(ISO)が認めた臨床検査に特化した国際標準規格「ISO15189」の認定を取得しました。これは正しく検査結果を報告するために必要な検査技術能力と、品質保証のしくみが国際的に通用するレベルであると認められたことを意味します。
今後もこの認定を維持し、より正確かつ迅速な検査結果を提供し、患者サービス向上に貢献できるよう努力していきます。

臨床検査科 施設認定

ISO15189 2012
輸血機能評価認定制度認証(I&A)
日本臨床衛生検査技師会 精度保証施設認証

現在の認定資格取得者(令和6年4月1日現在)


  • 認定輸血検査技師:3名
  • 認定血液検査技師:4名
  • 超音波検査士
      循環器領域:9名
      消化器領域:5名
      血管領域:5名
      体表臓器領域:6名
  • 日本糖尿病療養指導士:1名
  • 認定サイトメトリー技術者:2名
  • 認定一般検査技師:1名
  • JHRS認定心電図専門士:1名

生化学・免疫検査

生化学・免疫検査部門では血液、尿、髄液などの検体を用いて自動分析装置での測定を行います。肝機能、腎機能、膵機能などの検査や肝炎ウイルス、エイズウイルス、などの感染症、腫瘍マーカー、甲状腺、性腺などのホルモン検査やアレルギーの検査などを実施しています。


一般検査

尿検査

尿中に蛋白や糖などの成分がどの程度含まれているのかを自動分析機を用いて定性的に調べたり、顕微鏡を用いて尿中にどのような種類の細胞がどの程度出現しているのか、癌細胞が見られないかを検査しています。

便検査

大腸癌のスクリーニング検査として便中に血液由来成分であるヘモグロビン、トランスフェリンの出現を調べる検査を行っています。また便中に寄生虫や寄生虫卵が見られないかの検査も行っています。


血液検査

血液検査部門では主に血球計数検査と凝固検査、骨髄検査などを行っています。

血球計数検査

血球検査では、白血球、赤血球、血小板といった血液中の細胞の数を測定し、貧血がないか、白血球や血小板の数に異常がないか調べます。
白血球は好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球といった細胞にわかれていて、その分類も行います。機械での測定以外に技師が顕微鏡で分類する場合もあります。


凝固検査

凝固検査は、血液の固まる時間の測定や、血液中の血栓に関わる物質を測定し、出血傾向や血栓傾向がないかを調べます。抗凝固薬使用時のモニタリングにも使われます。出血傾向のある場合は、凝固因子測定など出血傾向の原因を調べる検査や、他にも血小板の機能を見る検査もあります。



骨髄検査


白血病などの造血器腫瘍の検査として、骨髄検査やフローサイトメトリー検査があります。骨髄検査は骨髄穿刺をして骨髄液を採取し、標本を作ります。それを顕微鏡で観察、細胞の分類をします。異常な細胞が見つかった場合は特殊染色やフローサイトメトリーといった検査をして、どのような細胞なのかを調べます。


細菌検査

細菌検査部門では、肺炎や敗血症など感染症の原因となる細菌やウイルスを調べる検査をしています。

一般細菌検査

感染症が疑われる患者さんから採取された様々な検体(血液、喀痰、便、尿など)を、目的とする細菌に応じて複数の培地に培養します。
また、検体をスライドガラスに塗抹し、グラム染色します。これを顕微鏡で観察すると、細菌の種類によって染色性、形態、配列が異なるため、大まかな菌種の推定が可能です。


一般細菌培養に使用する培地
一般細菌培養に使用する培地

 グラム染色像


黄色ブドウ球菌
大腸菌

培地上に細菌の集落(コロニー)が発育してきたら、細菌の菌名を調べる「同定検査」と「薬剤感受性検査」を行います。
同定検査には「質量分析装置」を導入しており、この装置では前処理を含め10分程度で菌名が同定できます。
薬剤感受性検査は、検出された細菌に対して有効な抗菌薬を調べる検査です。
どちらの検査も適切な抗菌薬治療には不可欠な検査であり、迅速な結果報告により感染症治療に貢献出来るよう努めています。



抗酸菌検査


結核菌を代表とする「抗酸菌」について、チール・ネルゼン染色や培養により検出し、遺伝子検査で菌名を同定します。

迅速ウイルス抗原検出検査

インフルエンザウイルスやノロウイルスなどのウイルス抗原を、検査キットを使って検出します。
いずれも検査開始から5~15分程度で結果が分かります。

輸血検査

輸血検査部門では、主に血液型・不規則抗体・交差適合試験の検査をしています。
新生児溶血性疾患、自己免疫性溶血性疾患の検査も行っています。
日本輸血細胞治療学会のI&A(視察と認証)を取得し、安全な輸血が行われるよう血液製剤の管理・検査を行っています。
赤十字血液センターと協力して適正な輸血が行われるよう努力し、24時間体制で緊急輸血にも対応できるよう備えています。


自動分析装置
血液センターとの製剤受け渡し

血液型検査

血液型判定試薬を用い、ABO血液型・RhD血液型の判定を行います。

不規則抗体検査

血液型にはABO血液型の他にも多くの種類が存在します。それらに対する抗体を不規則抗体といい、輸血時溶血性副作用の原因となる場合もあります。この検査ではその抗体の有無を調べます。

交差適合試験

ドナーの血液と患者さんの血液の適合性を検査します。ドナーの血液と患者さんの血液を反応させ、赤血球を破壊するような成分が患者さんの血液中にないか確認しています。

生理検査

生理検査とは

生理検査とは検査担当者が患者さんに直接接して行う検査です。
検査には、心電図検査、呼吸機能検査、超音波検査、脳波検査、神経伝導速度検査などがあります。

心電図検査

心臓は体の中で発生する電気信号の刺激により、心臓の筋肉が収縮して全身に血液を送っています。手足や胸に機械をつけ心臓が動く時の電気を記録し心臓のはたらきを調べるのが心電図検査です。

ホルター心電図検査

24時間の心電図を記録する検査です。普通の心電図検査では短時間のため検査中に必ず心電図の異常が現れるとは限りません。そこで長時間記録することにより、動悸や息切れ、胸痛など自覚症状がある時の心電図を記録しやすくしたのがホルター心電図です。

トレッドミル負荷心電図検査

安静状態では発見できない心臓の異常を調べるための検査です。心電図の電極と血圧計を装着し、ランニングマシンの上を歩いたり走ったりします。心拍数を上げ、一定の負荷をかけることによって心電図に変化が現れるかを評価します。循環器医師の立合いのもと行います。

CPX検査

循環器医師の立ち合いの下、専用のマスク・心電計・血圧計をつけ自転車をこぐ検査です。
運動中の息の組成を調べながら、心臓がどのくらいの運動負荷に耐えられるかを調べる検査です。

ABI検査

両腕両足の血圧と脈波を測定し、動脈硬化の程度や血管の詰まり具合を調べる検査です。ベッドに寝ていただき、両腕両足の血圧を測定します。

SPP検査

SPPとは皮膚灌流圧(Skin Perfusion Pressure)と言います。
皮膚表面から1~2mm程度の深さにある毛細血管に、血流がどの程度あるかを調べる検査です。血流を調べたい場所(主に足先)にセンサーと血圧計の帯を巻き、血圧を測定するように足先を圧迫して検査をします。

呼吸機能検査

肺の容量や硬さ、空気の通り道が狭くなっていないかを調べる検査です。スパイロメーターという機械を使用して肺活量がどのくらいあるか、1秒間に息をどのくらい吐きだせるかを調べます。それを組み合わせることで呼吸の障害の程度が分かります。患者さんの協力が必要不可欠な検査です。

ピロリ菌検査

胃・十二指腸潰瘍や胃がんに関係するピロリ菌が胃の粘膜にいるのかどうか、また除菌治療が成功したかどうかを調べる検査です。朝食を食べないで検査を受けていただきます。

脳波検査

脳が活動すると、脳の中には弱い電気が流れます。その電気活動を頭につけた電極で捉え、波形として記録し脳の働きを調べる検査です。てんかんや意識障害など脳に障害があると、それが異常な波となって出現することがあります。

末梢神経伝導速度検査

末梢神経は大きく運動神経と感覚神経に分けられます。調べる筋肉や神経に記録電極を付け、手足の皮膚上から電気刺激を行います。この検査では神経の障害の程度を知ることができます。
その他、神経や筋肉に関する検査では以下のものを行っています。
針筋電図検査、反復刺激試、体性感覚誘発電位、視覚誘発電位、聴性脳幹反応など。

平衡機能検査

めまいやふらつきの原因がどこの部位(内耳・脳・視覚器その他)にあるのかを調べる検査です。様々な条件下での眼球の動き(眼振)を記録します。

聴力検査

ヘッドフォンを両耳にあて、色々な高さの音の聞こえを調べます。左右別々に検査を行い、聞こえる最も小さな音の大きさを決め、それにより難聴の程度を調べます。
他にも言葉の聞き取りを調べる語音聴力検査、内耳や中耳の機能を調べる検査、鼻腔通気度検査なども行っています。

超音波検査について

人には聞こえない高い音(超音波)を体に当て、その反射波で画像を作り種々の臓器を検査します。プローブと皮膚が密着しないときれいな画像を作ることができないので、皮膚にエコーゼリーをつけて検査をします。当院では主に下記の部位の検査を行っています。


心エコー検査

左前胸部にプローブをあて、心臓の動きや大きさ、弁の状態、血液の流れなどを観察し、心臓が正常に働いているかを調べる検査です。狭心症や心筋梗塞、弁膜症、先天性の異常の有無などが分かります。

経食道心エコー検査

内視鏡検査と同様に、プローブを口から入れ食道から心臓をみる検査です。通常の心エコー検査では見にくい部分も骨や肺などに邪魔されず良く観察できるため沢山の情報を得ることができます。プローブを口から入れるため多少の苦痛を感じる場合があります。
この検査は医師が行います。

腹部エコー

腹部にプローブをあて、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの臓器に異常がないかを調べる検査です。原則、朝食を食べないで検査を受けていただきます。

頸動脈エコー

頸動脈は大動脈から脳へ血液を送る重要な血管です。血管内のプラークの有無や血管が狭窄していないかを調べる検査です。

下肢静脈エコー検査

足の付け根から足首までの静脈に血栓が出来ていないか、また静脈瘤の有無や程度を調べる検査です。

下肢動脈エコー検査

足の血管の動脈硬化が進むと、血管が細くなり十分な血流が保てなくなります。血液の流れが悪くなると歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じるようになります。この検査では足の付け根から足先までの動脈の狭窄の程度を調べていきます。

腎動脈エコー検査

腎臓につながる血管(腎動脈)が狭くなると腎臓の機能が低下します。この検査では腎動脈に狭窄がないかを調べていきます。

乳腺エコー検査

胸にプローブをあて、乳房のしこりの有無やその性状、石灰化などの所見を観察する検査です。


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